本を紹介し、近代文学・現代文学・海外文学の感想を書きます。雑感も書きます。

海の中で息をして

近代文学、現代文学、海外文学の感想を書くブログ

近代文学

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

カズオ・イシグロ氏は2017年にノーベル賞を受賞した。原題が「Never let me go」で、なんとなく面白そうだから入門として買った。ノーベル賞受賞者だけある、そう感じる作品だった。 この作品は是非とも前知識、ネタバレなしで読んで欲しい。映画の予告編、…

川端康成『古都』

移りゆく季節の中で、木々の姿も京都の色も人の心も変化していく。由緒ある祭は晴れやかに京都の街を照らす。灯りと共に心も揺らめいていた。 主人公の千重子は捨て子であった。裕福な家庭に拾われ、あまり苦労することなく暮らしていた。祇園祭。千重子は出…

夏目漱石『それから』

主人公の代助は親から金を貰い働かずに生活をしていた。知識人であった。いつも本を読み、友の翻訳の頼みがあれば相談に乗った。金も時間も自由もあった。意思はなかった。 あらすじを意識せず本文へ入った。この作品は裏表紙、あらすじにある通りの「悲劇」…